2006年06月04日

歌よ 五月雨/1 「天使」を見つけた

 ◇五月雨<作詞・持田香織/作曲・多胡邦夫>

 病院を訪ねたのは、今月中旬の雨の日だった。徳島駅から各駅停車に揺られて約30分。吉野川中流域のひなびた駅を降りた時、私はEvery Little Thing(ELT)の「五月雨」を聴いていた。

 大阪を発(た)ってから、何度繰り返し聴いたことだろう。切ない調べに、感じたままの詞(ことば)をのせ、凝縮された物語が流れていく。この曲は、国立病院機構徳島病院(吉野川市)の難病患者との出会いをきっかけに作ったとされる。それを確かめるため、ここまでやってきた。

 ♪この声は届いてますか この歌は今日も聴こえていますか

 一体誰に呼びかけているのか。持田香織の澄んだ歌声が、5月の雨の風景に溶け込んでいった。

 五月雨は、持田と伊藤一朗の2人組人気ユニット・ELTの「commonplace」というアルバムに収録されている。私が曲の誕生秘話を知ったのは、ネット上の書き込みだった。

 「筋肉が衰える病気の『こもちゃん』という子がコンサートに行けない、と手紙を出したところ、ELTが病院に見舞いに行き、五月雨をつくった」。そんな内容だったと記憶する。確かめると、アルバムには協力者として、「こもちゃん」という人物とこの病院の以前の名称が記されていた。しかも、病院は筋肉の機能を失う難病・筋ジストロフィーの患者が各地から集まる四国の中心的な施設でもある。

 「こもちゃん」。そう呼ばれている青年は、この病院にいた。電動車いすを操って、私の前に現れた菰渕(こもぶち)雅博(22)だった。高松市出身で、小学6年生の夏休みに入院。病院生活は11年になるという。菰渕に秘話のことを尋ねると「ELTから直接聞いていませんが、きっと慰問してくれた時の気持ちを歌にしたのでしょう」と答えた。そして、ELTの2人が病院を訪れた3年前の出来事を目を輝かせて語り始めた。

 外は五月雨。降りやまぬ雨が木々の命をつなぐ恵みとなるように、この歌も「こもちゃん」たちに生きる勇気を与えているのだろうか。=敬称略、つづく<文・砂間裕之/写真・小松雄介>

posted by TaRo at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ELT | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/18840621

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。